『朝日新聞』の事実誤認記事に関する公開質問状

株式会社 朝日新聞社 代表取締役社長 中村史郎様

朝日新聞記者 板垣麻衣子様

 2021年12月11日の15時00分、『朝日新聞』のサイトに、板垣麻衣子記者名による「生理がないのに女?ジョークが炎上 居直った私の好きなコメディアン」という記事が有料記事として掲載されました

(元記事のwebアーカイブ:https://megalodon.jp/2021-1211-1834-57/https://www.asahi.com:443/articles/ASPD75WB4PD6UCVL00M.html

以下に、特に問題のある部分を転載しておきます。

 

 

 しかし、その中には多くの事実誤認や事実の歪曲、一方的な誹謗中傷が見られたため、ツイッターを初めとするインターネット上で多くの批判が寄せられました。それはおおむね以下のように整理することができます。

1.記事中、「TERFは、『トランス女性を女性と認めないラジカルフェミニスト』という立場をとる人のことで、実体としては『トランス嫌悪的』な態度表明とされる」とあるが、「TERF」というのは、トランス問題をめぐる一方の側(トランス権利活動家およびその支援者)が他方の側(主としてフェミニストだが、それだけではない)を中傷するためにつくった女性差別的な俗語であり、それを朝日新聞の記事があたかも客観的な用語であるかのように用いていることは問題である。「実体として」言えば、トランス権利活動家の主張に反論したり批判している女性たちやトランス当事者たちが総じて「TERF」と呼ばれて攻撃対象とされており、この用語は異論を封じるためのレッテルであって、「『トランス嫌悪的な』態度表明」とは何の関係もない。

2.記事中、「生理の有無で『本物の女性かどうか』を問うのはTERFの特徴」とあるが、「TERF」という用語を侮蔑的に用いている側でさえそのような「定義」をしたことはなく、板垣記者によるまったく独自の「特徴づけ」である。

3.続いて、同記事は、「『ハリー・ポッター』シリーズで知られる作家のJ・K・ローリングが数年前、『女性』のことをあえて『生理がある人』とツイートし、炎上したこともある」とあるが、事実は、ある記事が女性のことを「生理がある人(‘People who menstruate.’)」と書いたことに対して、J.K.ローリングさんは「女性」という言葉があることを指摘したのであり、まさに記事は正反対に事実を描いている(https://twitter.com/jk_rowling/status/1269382518362509313)。

4.またこの一文の中で「数年前」とあるが、問題にされたツイートは、1年前の2020年6月7日のツイートであり、「数年前」ではない。

5.同じくこの一文の中で「炎上したこともある」とあるが、実際に起こったのは、J.K.ローリングさんに対する数百、数千もの殺害、レイプ、暴力その他の脅し、侮辱、誹謗中傷であり、「炎上」などと表現できるものではない。

6.記事中、「性別を『揺るがしがたい事実』と捉えて、生物学的性とは異なる性自認を持つ人をないがしろにしようとするTERFの立場」とあるが、生物学的性別自体は「揺るがしがたい事実」である。科学に基づく現実を尊重してこのような考え方を持つことは、思想信条の自由のある日本国において、なんら責められるべきことではないにもかかわらず、このことが重大な過ちであるかのように書かれている。また、「ないがしろにしようとする」という曖昧な記述は、人権を持つ市民として認めないという意味までを読者に連想させるが、それは事実無根である。

 以上の6つの点は非常に目立つ問題点だけを指摘したものであり、より詳細に見ればもっと多くの問題点を指摘することができるでしょう。ごく短い叙述の中で、これほど多くの単純な事実誤認や歪曲が存在するのはまことに驚くべきことであり、朝日新聞の杜撰なファクトチェック体制を示唆するものです。

 多くの人の指摘を受けて、朝日新聞のツイッター公式アカウント(@asahi)は、記事の掲載から9時間経過した2021年12月12日の午前0時05分に、次のような訂正とお詫びのツイートを流しました(https://twitter.com/asahi/status/1469684755239440389)。

 

 そして、元の記事にもこの訂正ツイートに沿った書き換えが行なわれました

(変更後の記事のwebアーカイブ:https://megalodon.jp/2021-1211-2316-22/https://www.asahi.com:443/articles/ASPD75WB4PD6UCVL00M.html)。

 しかし、この訂正とお詫び、およびそれに基づく元記事の修正にも多くの問題点があり、この点もすでに多くの人々に指摘されていますので、以下にまとめておきます。

1.この「訂正とお詫び」ツイートは上に列挙した6つの問題点のうち、最も目立つ「3」だけを修正したものであり、その他の事実誤認や歪曲についてはまったく訂正されていない。1年前のツイートを「数年前」と記述するというごく初歩的な事実誤認さえ訂正されていない。

2.元記事は何よりもJ.K.ローリングさんを単純な事実誤認にもとづいて誹謗中傷するものであったにもかかわらず、J.K.ローリングさん本人にいかなる謝罪もしていない。

3.元記事は修正されているが、その修正のことがサイトの記事そのもの(https://www.asahi.com/articles/ASPD75WB4PD6UCVL00M.html)にはいっさい記載されておらず、依然として「2021年12月11日 15時00分」にアップされただけになっており、更新日時ないし修正日時が記されていない。

4.先に列挙した6点の問題点のうち「3」のみを修正したために、全体として記事の記述がまったく論理不整合なものになっている。元記事において、「生理の有無で『本物の女性かどうか』を問うのはTERFの特徴」と書かれ、その証拠としてまさにJ.K.ローリングさんの発言が挙げられていたのに、その発言は実際には正反対の趣旨であり、女性を「生理のある人」と呼ぶことを批判したものであった。したがって、「生理の有無で『本物の女性かどうか』を問うのはTERFの特徴」という記述は破綻しているにもかかわらず、それをなお維持している。

5.元記事において、「女性のことをあえて『生理がある人』と呼ぶ」ことは問題であるとの認識がうかがわれるが、まさにそのような呼び方をしているのは、トランス権利活動家と支援者、およびその影響を受けたメディアや各種機関であり、それを批判しているのはまさに「TERF」とされている側であるにもかかわらず、記事は引き続き、「TERF」を批判するという全体的趣旨をいっさい変えていない。

 以上の点を踏まえて、朝日新聞社の中村史郎代表取締役社長、およびこの記事の執筆者である板垣麻衣子記者に対して、以下の公開質問をさせていただきます。

】単純な事実誤認にもとづく間違いだらけの記事が掲載されるに至った経緯、およびそれを訂正するに至った経緯について、お答えください。

】同じようなミスが生じないようにする上で、今後どのようなファクトチェック体制を取るつもりなのかお答えください。

】上で私たちが列挙した問題点のうち「3」のみが訂正されていますが、それ以外の問題点については訂正する必要がないとお考えでしょうか? もしそうならば、その理由についてお答えください。

】「TERF」という用語は女性に対する侮蔑であり、女性差別の言葉であると、多くの女性たちが抗議の声を上げていますが、これらの女性たちの声についてどうお考えでしょうか。また朝日新聞はその記事においてこの言葉を今後とも使うつもりでしょうか。もしそうなら、その理由についてお答えください。

】J.K.ローリングさんは、あの1年前のツイートが原因で、レイプ、殺害、暴力の脅しを無数に受け、また多くの誹謗中傷がなされましたが、「言論の自由」の堡塁たる大手の報道機関として、またかつて右翼の暴力によって死者まで出したことのある朝日新聞社として、このような暴力的脅しには問題があるとお考えですか。もし問題があると考えるのなら、この深刻な事態についてこれまで一度も取り上げたことがないのはどうしてでしょうか。また今後、この問題を取り上げる予定はあるでしょうか。

 以上の質問に対しては、2021年12月末までに、eメールないし貴社のwebサイト上でご回答くださいますよう、お願い申し上げます。

2021年12月14日

No!セルフID 女性の人権と安全を求める会

共同代表 石上卯乃、桜田悠希

                        メールアドレス:   no.self.id.jp@gmail.com

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