代理出産は女性への人権侵害です、代理出産を認めないでください

自由民主党厚生労働部会「生殖補助医療についてのプロジェクトチーム」座長 古川俊治様

自由民主党政務調査会長 萩生田光一様

 日頃からの貴党の奮闘に敬意を表します。私たちは「No! セルフID 女性の人権と安全を守る会」という市民団体です。

 2022年8月29日付の『朝日新聞』記事「代理出産の条件付き容認案、自民PTまとめる。法改正案へ反映目指す」によると、自民党厚生労働部会「生殖補助医療についてのプロジェクトチーム」は先ごろ、「生殖補助医療の提供及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例法」(以下、生殖補助医療法と略記)を改正して、代理出産を条件付きで認める方向の案をまとめたとのことです。記事によると、それは「先天的に子宮がない人など」を想定し、「こうした人の妊娠を可能にする『子宮移植』が実用化されるまでの時限的な措置とする」とあります(「子宮移植」については、昨年7月に日本医学会の検討委員会が容認する立場を明らかにしており、この子宮移植にも私たちは大きな懸念を抱いていますが、ここでは触れません)。そして、この代理出産の部分的容認は、「今秋の臨時国会に出す見込みの生殖補助医療法の改正案に反映させることをめざす」とのことです。

 この記事が出てから、ツイッターなどのSNSで女性たちが憂慮と反対の声を上げ、トレンドに「#代理出産合法化に反対します」「#代理出産」とあがるほどでした。代理出産を法的に容認することについては、日本産科婦人科学会がすでに2003年4月に出した「代理懐胎に関する見解」の中で、「対価の授受の有無を問わず」「代理懐胎の実施は認められない」という明確な立場を示しています。その理由として、「生まれてくる子の福祉」への懸念、代理出産には「代理母の身体的危険性・精神的危険性」が伴うこと、「家族関係が複雑になること」「代理懐胎契約は倫理的に社会全体が許容していると認められない」という4点を挙げています。これらの懸念は現在もまったく払拭されていません。以下、具体的に見ていきます。

「子の福祉に反する可能性」……戸籍への記載の義務がないため、将来の結婚相手がもしかしたら異母兄弟姉妹、異父兄弟姉妹である可能性もあります。もしも近い遺伝子の人間が結婚し子を為す場合、遺伝性疾患の可能性が高くなります。また、代理出産で生まれた子が鬱になる可能性も高いと言われています。

「(代理母の)身体的・精神的危険性を伴う」……自身の遺伝子と違う卵子を受胎することから、妊娠中は免疫抑制剤などの薬剤の投与が必要になり、それによる副作用の問題があります。また、妊娠から出産まで他人に管理される辛さ、出産後に子から切り離されることで産後鬱の可能性も高くなります。また、代理出産かどうかに関わりなく、そもそも出産には常に危険が伴い、身体的負担が著しく重く、出産後も生涯に渡る影響が健康や生活に及ぶ場合もあります。

「家族関係が複雑になる」……生殖補助医療法には、「代理出産で他人の卵子を用いて出産した時、その出産した女性をその子の母とする」とあります。また自己以外の人の精子で受胎した場合でも、認知した男性が父となると定められています。依頼者はその子を養子縁組か特別養子縁組とすることによってしか親となることができません。後者の場合、戸籍から出生時の親を辿れないので、遺伝子上の繋がりがわからなくなり、家族関係が複雑になるのは避けられません。

「代理懐胎契約は倫理的に社会全体が許容していると認められない」……代理出産とは何よりも、他人の身体を使って、場合によっては障害や死の危険を伴う懐胎・出産という行為をさせることであり、明らかに倫理的な問題があります。たとえ代理出産に本人が同意する場合でも、上で記したさまざまな危険のすべてをあらかじめ熟知した上で同意していると想定するのはあまりに非現実的です。また立場上、断れない場合もあります。さらに、この行為は女性の人身売買であるという指摘もあります。たとえば、最初にこの手法を導入したアメリカでは、代理母を募集した際、無償では希望者がいなかったため、有償で募集することになり、結局、貧しい女性たちが生活のために応募する事態が生じました。たとえ最初は非商業的なものとして始まっても、やがて商業的な代理出産が認められる危険性があります。商業的代理出産の合法化が先行した国々ではすでに多くの深刻な問題が起きており、結局、禁止される国もしだいに増えています。この問題については、「代理出産を問い直す会」のサイトを参照していただきますよう、お願いします。

 以上見たように、たとえ部分的であれ代理出産を合法化することは女性の人権と安全を脅かし、女性の「性と生殖にかかわる権利」を後退させることになってしまいます。もし生殖補助医療法を改正するのなら、代理出産を容認するのではなく、むしろ代理出産を法的に禁止する方向で改正してください。

2022年9月5日

No!セルフID 女性の人権と安全を求める会

代表 石上卯乃、桜田悠希

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